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舞台関係者のみならず各界著名人からコメントが届いています!
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今福龍太
蝶は風を受けて飛ぶ。いやむしろ、風を切って飛ぶ。いやさらにいえば、みずから風を孕み風を生み出す。
吹きすさび循環する大風のような物語。小池舞台はそんな物語を生成する未知なる蝶の飛翔だ。 -
Philippe Aymard
小池さんの全ての作品に共通するのは「宇宙」とのつながり。その繋がりは惑星が軌道を追うようだ…無限の空間と永遠の時間。星の輝き、光の速さ、ブラックホールの暗黒、無重力…広大な宇宙の美しさと力強さ、我々人類はいかに謎に包まれた矮小な存在であるか。小さな地球上の、さらに小さな舞台上に生み出されるマイクロ・コスモスの中で時間をコントロールする秩序は小池さんの作品に密かに組み込まれている。国境を越え俳優たちは観客を導き、時に問いかける。物語は人間性を映し出し、我々は自己を見つめる。そもそも演劇はこうあるべきであろう。お互いの存在を確認し、宇宙の一部であることを認識することができる場所。小池さんが創造する小宇宙に想いをはせる。
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佐伯剛
ここにあるもの総ては何処にもあり、ここに無いものは何処にも無い」。この時代に古代インドが創造した世界最大の叙事詩「マハーバーラタ」を演出するうえで、小池博史ほど相応しい人物はいない。
隅々まで混沌としていて、隅々まで豊かな世界。マハーバーラタも、小池の舞台も、良し悪しの分別を超えた人間の全生命的な在り様を究極まで引き出している。
小池の情熱は、徹底的なリアルと自由に向けられている。人間の作り出すものはおしなべてフィクションであるが、そのフィクションが、人間の地上の現実と、人間の力を超えたもののあいだに架かる橋になった時に、人間は、そのフィクションを通じて、生きること全体のリアルを体感することができる。そこを目指す精神の運動こそが、真の自由だと私は思う。マハーバーラタと小池博史の表現の接点は、まさにそこにある。 -
葛西薫
小池さんからポスターの依頼を受けると、きまって自分の中に沈殿していた危なげな奇妙なナニモノカが浮かんできて、説明のつかない造形に結びついていく。その創作過程は、衣服を脱がされて遠い過去のどこかへ帰っていくようなほろ甘い経験であり、このことは、小池さんの舞台を観ているときに、だんだん演じ手たちに同化していく自分と同じではないかと気づいた。
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中川俊郎
小池博史の舞台は、様々な批評眼を擦り抜けていく。分類し安心しようとする眼の間を(…音楽の世界にもある眼だ)。やがてあるがままに物を見る子ども、または神?の眼線に気づかされる。 幾つものストーリーの同時進行の錯綜は、その「錯綜」自体が観客にとって自分の内面を映し出す鏡となる。善悪の二元的な審判を避け、世界を丸ごと受け入れる思想も含め。
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今福龍太
蝶は風を受けて飛ぶ。いやむしろ、風を切って飛ぶ。いやさらにいえば、みずから風を孕み風を生み出す。 吹きすさび循環する大風のような物語。小池舞台はそんな物語を生成する未知なる蝶の飛翔だ。
京都佛立ミュージアム館長 長松清潤
「文に非ず、其の義に非ず、唯だ一部の意のみ。」
まずこの聖句が浮かんだ。境界線に立つ人類。超越する意志。小池博史氏の心象が生み出したアバターが乱舞しながら深層意識に波紋を起こしてゆく。